7月28日付日経新聞のトップ記事は、「東洋エンジと大阪市、ベトナムで水道事業: 企業・自治体、連携広がる」である。この記事はニュースとは言えない。昨年12月、大阪市水道局は、独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究費を基に、ベトナムのホーチミン市水道総公社(Saigon Water Corporation:「SAWACO」)と、「技術交流に関する覚書」を締結することを発表しているからだ。東京都、横浜市、北九州市、川崎市も同様のプロジェクトを進めている。
大阪市の事例は「水ビジネスの第三のモデル」として位置付けられる、ということが本稿のテーマである。
大型自治体や大企業にしかできない「バリューチェーン縦断型モデル」昨今、政府と大企業が企業連合(コンソーシアム)を組んで、新興国に様々な環境技術を提供する「インフラ輸出プロジェクト」が盛んになっている。国際市場の経験が少なければ、経験を積めば良い。大阪市の場合もコンソーシアムを組んで、数年後に70~80億円規模の事業を計画と報道されている。
ところが、「バリューチェーン縦断型モデル」を行うとなれば、資金調達能力や大きな組織運営が必要である。一部の大型自治体や大企業には可能だが、中規模以下の大半の自治体は、このようなビジネスに縁がないのだろうか。
いや、そうでない。プエジェクトを包括受注しなくても、差別化された人材やノウハウを提供することなら、小規模な自治体や中小企業でも可能だからだ。
私が人材・ノウハウ提供型モデルに注目する理由は、その拡張性が高いことである。水だけでなく、新興国のゴミ処理、リサイクル、電気・ガス管理などに日本の高度な人材・ノウハウが貢献できる。何も、お金がかかる太陽光発電、原子力発電、電気自動車(EV)だけが、日本の「環境技術ショールーム」ではない。
水やリサイクルの人材やノウハウは、既に自治体に存在するので、スマートグリッドやEVの充電インフラのように、国から新たに補助金をもらう必要がない。また、地方の懸案である地元の雇用創出にも役に立つ。人材・ノウハウ提供型モデルのこのような意義が認識されるべきだ。
Source: The Wall Street Journal