感謝と敬意と傾聴が信頼関係の土台
周囲の人への感謝の気持ちは、敬意と傾聴を生みだします。逆に、自分に敬意を払って大切にしてくれる人、自分の話に心を傾けて聴いてくれる人には感謝が生まれます。これがよいピラミッドの土台、すなわちチームの「関係の質」の基礎を作ります。岡田監督は、記者会見でいつも「まず、すばらしい選手達に感謝したい」と感謝の気持ちを表明していました。このような監督の感謝の心は、記者会見の場だけでなくいろいろな場面で滲み出て、選手のやる気を引き出していったのではないかと私は考えています。
感謝の気持ちは、自然と挑戦のやる気を育みます。これがピラミッドの縦軸を作ります。土台の感謝と頂点の挑戦は、一枚のコインのように表裏一体となっています。日本で応援してくれているサポーター、産んで育ててくれた両親、今まで指導してくれた師匠、支えてくれた支援者達、共に闘う仲間への感謝は、自然と挑戦というやる気を高めます。挑戦を続けていると感謝したいことが沢山起こります。
失敗したことすら感謝に変わります。なぜなら、挑戦は続くのですから、失敗とは学ぶべき経験の宝庫です。だから失敗とは感謝すべき存在なのです。負けても感謝、勝っても感謝して上へ上へと挑戦していくのです。
川口選手が音頭をとったサッカー日本代表のスイス合宿での対話の場は、お互いの存在に敬意を払い、お互いの心を感じながら本音で語った傾聴の場だったのでしょう。
挑戦を支える寛容と配慮の心挑戦の心を中段で支えるのが、寛容と配慮の心です。
寛容とは、失敗に厳しく温かく向き合うことです。起きてしまった失敗という現実にも目を背けず向き合う厳しさが必要です。同時に相手の人格に対しては温かく「次がんばろうぜ、失敗から一緒に学ぼう。前を向いて胸を張ろう。」と励ませるのが寛容です。PKを外した駒野選手を同期の松井選手が寄り添って共に涙して、励ましていました。あれが「強い絆チーム」の寛容の心なのでしょう。
失敗が許されない組織では、挑戦すること自体が臆病になってしまいます。ですから、「ドンマイ!もう気にするなよ!」と寛容してもらえる組織でないと挑戦は長続きしないのです。配慮とは、「おもいやり」の心です。相手の視点、リーダーの視点、お客様の視点、経営者の視点、株主の視点、過去や未来の視点、人類や宇宙の視点などいろいろな視点からの「おもいやり」で自分達の挑戦を見つめることで挑戦の質は上がっていきます。W杯への挑戦の歴史の重みを知る川口能活選手は、まさに配慮のリーダーだったのでしょう。
仲間への配慮がない組織での個の挑戦は、ひとりよがりの「我がまま」になってしまいます。チームのために挑戦する個(One for All)がいて、その個を全員で支援するチーム(All for One)が配慮のチームです。
大活躍した本田圭佑選手は、大会終了後、次のように述べています。
批判してくれた人達も僕達にとっては大切な存在でした。だから、批判してくれた人達にも僕は感謝したい。(本田圭介選手)
まさに敬意、傾聴、感謝、寛容、配慮、そして挑戦に溢れた人物の言葉です。敗北を受け入れ、寛容し、挑戦を続けます。批判の声にも敬意を払い、傾聴して、感謝して向き合います。チームワークピラミッドの6つの心は、結果を出す強いリーダーが持っている無意識の心の在り方を示しています。
Source: keiomcc.net